今回製作した木型で革絞り技法を使い立体成形をしたJB23ジムニーのキーレスケースです。
ヌメ革は水に弱い性質があり、水に濡らすと変形したり、固まってしまいます。
逆にその性質を利用して、好きな形に成形をする技法の事を革絞り技法といいます。
革絞り技法を使えば、ケースやカバー等ではジャストフィットな物が作れますし、
一度型を作ってしまえば、同じ製品をいくつも量産することもできます。
ホームセンターの材料でできますし、型作りもコツを掴めばそれほど難しいこともありません。
絞り技法を使う事ができれば、レザークラフトで製作できる作品の幅も広がりますので、
是非チャレンジしていただきたいと思います。
それでは作り方の説明です。
今回製作する型は、JB23ジムニーのキーレスケースの型になります。
ケースは表と裏の2枚の革で挟み込みますので、キーレスの厚み10mmの半分になる5mmの材料と、
ベース板として使用する10mmの材料を用意しました。
こちらの材料は初めて使いますが、アガチス工作材という木材です。
見た目で節が無かったのと、名前が「なんとなく削り易そう。」という理由で選びました。w
木の節の部分は固くて加工しづらいので、木型を作る時にはなるべく節の無い材料を選んで下さい。
では、まずは凸型から作っていきます。
キーレスの輪郭を鉛筆で写し、ザックリとノコギリでカットします。
表、裏と、予備で3枚作ります。
次にグラインダーで削っていきますが、この時点で仕上げ加工まではしません。
※注)グラインダーの扱いには十分注意してご使用ください。
3枚共ある程度形を整えたら、クランプで挟みます。
3枚一緒に仕上げる事で、大きさのバラつきが少なく加工できます。
こんなモンかな?
キーレスの形状を見ながら、コーナーに軽く丸みを付けていきます。
一度にたくさん削らずに、少しづつ削って、合わせてを繰り返していきます。
凸型は、あとで最終仕上げをします。
次は凹型です。
凹型も厚み5mmのアガチス工作材を使用します。
厚い板を使えば丈夫にはなりますが、加工が大変になりますので、5mm程度の板であれば、
初めてでも加工し易いかと思います。
凸型から輪郭を写し、革の厚み分+αをオフセットした線を書いていきます。
(今回は1.5mmの革を絞る型ですが、2mmオフセットしました。)
このまま切り抜くのは大変ですので、ボール盤で穴をあけていきます。
ボール盤が無ければ、電動ハンドドリルでもOKです。
そして次は、残ったデコボコを削っていきます。
ボール盤にクッション付きペーパーやすりを取付けて削りましたが、
アガチス工作材は彫刻刀でもザクザク削ることができますので、彫刻刀とペーパーでもOKです。
次に凸型、凹型を仕上げていきます。
最終仕上げは、ペーパーで整えていきます。
こんな感じで。
凹型は最終仕上げの時に、周りに丸みを付けておくと綺麗に革を絞る事ができるかと思います。
ペーパー手仕上げでもできますが、ルーターがあれば作業時間の短縮になり、仕上がりも綺麗です。
ルーターを使用しても、最終仕上げはやっぱり小さな歪みもわかるペーパー手仕上げですね。
凸型、凹型ができましたら、次はガイドピンの穴をあけていきます。
ガイドピンとは、型がずれないようにするピンの事で、型の四隅に木ダボを設置します。
まずは、凹型の5mmの板を10mmのベース板でサンドイッチしてクランプで固定します。
加工したガイドピンの穴が基準になりますので、板の大きさは多少違っていても問題はありません。
木ダボはガチガチに効かせるわけではなく、ある程度の位置決めですので、
力を入れずに動かせるような穴の大きさがいいので、φ6の木ダボならφ6のドリルであけます。
ベース板と凹型を重ねてクランプした状態で、四隅にあけていきます。
コーナー1箇所をヤスリでC面取りし、型をバラしても組付け時に向きがわかるようにしておきます。
木ダボは軽く動くぐらいでOKです。
次は凸型をベース板に貼り付けていきます。
厚み2mmの革で、幅4.5mmの革を用意します。
凹型の内周に嵌め込みます。
そこに凸型を裏返しで嵌め込みます。
凸型、凹型を少しずつ削り、ピッタリと嵌るまで微調整していきます。
そしてボンドを塗りますが、圧着した時にボンドがはみ出ると革もくっついてしまいますので、
塗り過ぎ注意です。
※注)このぐらい塗るとはみ出ます。w
凸型ベース板を重ねて・・・
クランプで圧着します。
完全接着まで待つ事24時間。
これで革絞り用木型の完成です。
次回は、実際に革を絞りま~す!